桐野夏生「メタボラ」…日本社会の断面
面白い小説で引き込まれるように読んだ。細部の描写がリアル、そして人間性への冷徹な視点が際立っている。しかも現代の日本社会の断面が真実味をもって描かれている。
沖縄と基地問題・・・格差社会・・・ネット自殺・・・派遣労働と外国人労働者・・・裏社会と愛欲…様々テーマが上滑りすることなく語られ倦むことがない。
今の日本社会を特徴づけるように、登場人物全てがバラバラで孤立している。コミュニティのなかでも連帯や優しさは裏切られ続ける。
全くひとごとではない話だ。みんな自分のことでせいいっぱい。
これが日本の姿だ。
元厚生省事務次官ら殺害の小泉容疑者。
事件が発生したとき、人格障害者の犯行だと思い、連れ合いに
「頭のおかしい奴の犯行だよ」といった。
果たしてそのとおり(多分反社会的人格障害ということになるだろう)だったが、
このように歪んだ性格の人間はいつの時代にも一定の割合でいることだろう。
問題なのは、そのような人間が地域やコミュニティから排除され孤立していく中でその異常性を増幅していくような環境に社会になっていることだ。(だから社会が悪く、本人の責任はないと言ってるのではない)
その上、競争社会では、みんなが他人を蹴落とそうし、悪者(政治家だったり、官僚だったり、ニートだったり、モンスターペアレントだったり、マスコミだったり、外国だったり・・・)を探して罵詈雑言を浴びせるのに必死。(考えてみれば俺もそうだな)
少しギスギスしすぎてませんか。なんか中世にもどりつつあるような気がする・・・
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