トムラウシでの遭難
今回の遭難の原因は風だろう。
北海道の2000m級といえども、7月中旬に氷点下になることはないだろう。
しかし、悪天候下での高山帯の稜線の強風というのは四季を問わず最悪なのだ。
風速20mというと普通は行動しない、もしくは引き返す天候である。
今回の遭難は様々な悪条件が重なったと思う。
第一に北海道という点。
緯度の問題ではない。
営業小屋がない。
森林限界より高い山域が広大で樹林帯まで距離がある。
エスケープルートがない。・・・という点だ。
本州のアルプスではエスケープルートを数百m下れば
まず間違いなく樹林帯に入れる。
そしてそこでは稜線での強風が嘘のように弱まる。
本当に天国と地獄なのだ。
第二にツアーという点だ。
そもそも登山のツアーに参加しようという気持ちがよくわからない。
登山という行為はルートや装備や食糧の計画を立てる事がまず楽しいし、
すでにそれは登山の一部でもある。
そして様々な自然条件の変化に対応しつつ、
一人もしくは気の合った仲間と
その自然をまるごと体感することが醍醐味だと思うのだが・・・
一方、ツアーだと見ず知らずの他人と行動をともにしなければならない。
気も遣うし、自分では何も判断できない。
今回は十数人という大きなパーティーで連帯感もなく、全体をまとめる者もなく
結果的に判断を誤った上に、
参加者がバラバラになって
多数の死者を出してしまったのだと思う。
第三に参加者が中高年という点だが・・・
60代の体力がどのようなものだかわからないが、
今回のような悪天候だったら40代の俺でも厳しいと思う。
しかも他の客の手前停滞しようなんて言えないだろうし。
主催者側も引き返しましょうとは言いづらかったのかも知れない。
言うべきだったとは思うが・・・
みんなつらかっただろうと思う。
急速に体温を奪われながら何もできずにあっけなく私はこの場所で死ぬのかと・・・
助かった人たちは多分紙一重だったはずだ。
例えばアンダーウエアの素材が異なっていたとか・・・
生への執着が少しだけ強かったとか・・・
でも本当に生と死は隣り合わせで、
我々のすぐそばにあるものだと考えてしまった。
イラクやアフガンやソマリアでなくてもいつ死が訪れるか分からない。
そしていづれにせよ必ずいつかはやってくる。
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